-中国語あれこれ
--鄭老師の漫談--
(77) 中国語会話 中級プレミアム・レッスン
【中国流の説得法】
太顺的事儿往往有问题/我劝你见好就收

とんとん拍子に運ぶ話はとかく問題があるものだ/ほどほどにするのが得策ですよ
バランス感覚に富んだ会話フレーズの実例
日常生活において、一方的に自分の都合ばかりを言い張ると、他人の都合を無視したり、他人を不自由な目に遭わせたりすることになりがちです。それでは人間関係がギクシャクしてしまう。それを避けるためには、思い遣りと互譲の精神で折り合いをつける必要があります。
バランスって 大事…!
別の視点からみると、「バランス感覚」がこうした矛盾を適切に処理するのに必要不可欠であると考えられる。と同時に、そうしたバランス感覚を適切に体現した言語表現が求められます。つまり、物事や事案に対する判断や処理が一方の極端に走るのを防ぐために、複眼的視座から当事者各方の立場や利害情況を把握し、それらをバランスよく言葉に表すセンスが問われます。
中国人の日常会話の中には、そうしたバランス感覚に富んだフレーズが少なくない。

下記の例文1でいうと、「相手の邪魔にならない程度に話を手短にすること」がバランス感覚です。同様に、例文2の「身内から水臭いと嫌がられる謝辞はむしろ省くこと」、例文3の「単調で過度な屋内生活には戸外活動を加えて鬱屈な気分を中和すること」によって、それぞれバランスが取られています。その他の例文でも、様々な形で調和を図っているものが多い。

1. 我说几句话就走,不打扰。
2. 都是自己人,我就不说谢谢了。
3. 老在屋里呆着,快发霉了。出去走走。
4. 别废话,快说正事。
5. 你还有完没有?
6. 不跟你扯了,我有正事呢。
7. 别净想美事,说点现实的吧。
8. 看来,这个话题有点儿太沉重了。
9. 不提这些了,还是说点轻松的吧。
10. 换个地方,忘了这些不愉快的事吧。
11. 你今天心情不好,我们不谈这个。
12. 好了,今天我们不谈工作,只谈友谊。コネコネ♪
13. 我劝你见好就收。
14. 太顺的事儿往往有问题。
15. 我不敢说大话,只能说尽力而为。
16. 受之有愧,却之不恭,只好收下了。
17. 你非要把事情做得这么绝吗?
18. 你总是往坏处想。
19. 他们那些人净说好听的。
20. 太多疑的话,很容易让你衰老的。
21. 他这个人直肠子,不会绕弯子。


★語注:
见好就收 jiàn-hǎor jiù shōu;【慣用句】程よいところでやめる/ほどほどにする
正事 zhèng-shì;【名詞】まじめな話/処理すべき用件  ●扯 chě;【動詞】おしゃべりする
废话 fèi-huà;【動詞】無駄口をたたく ●却 què【動詞】断る/辞退する ●绝 jué;【形容詞】行き詰まった状態/袋小路 /行き場のない ●直肠子 zhí cháng-zi;【名詞】一本気(な人)/あけすけな人 ●绕弯子 rào wān-zi;【動詞】遠回しに言う

★解説:
これらのフレーズの中身は、対立概念を調和ないし中和するような組合せになっています。つまり、「無駄話の打ち切りから本題へ(例文4)」、「根拠のない空想をやめて現実的な話題へ(例文7)」、「重苦しい話をやめて気楽な話題へ(例文9)」、「仕事の話は棚上げして、もっぱら友情の話へ(例文12)」、「うまい話に落とし穴は付き物だ(例文14)」というふうに、話のバランスを取っています。逆に、意図的にバランスの悪いフレーズを使って、相手に事の重大さを気づかせ、ある種の忠告・警告を発する場合もあります。例文17、18、19、20がそれに該当しています。 

▲例文1“
我说几句话就走,不打扰。”「ちょっとだけお話してもいいですか?お邪魔するつもりはありませんから」、「(終わり次第)すぐに退散しますから、ちょっとだけお話してもいいですか」。自分の行動の自由と、それに拘束される相手の不自由、この矛盾の解決方法は、話を手短にして相手を早く解放してあげることです。

▲例文2“
都是自己人,我就不说谢谢了。”「みんな身内だから、礼を言うのはナシにしておきますね」身内にわざわざ礼を言うと逆効果、かえって水臭くなる。

▲例文3“
老在屋里呆着,快发霉了。出去走走。”「部屋の中に居てばかりだとカビが生えちゃうから、外に出てちょっと散歩しようよ」。「閉じこもり」から生じる心身の不調を解消するには戸外活動が一番、という論法。


▲例文4“
别废话,快说正事。”「無駄話はやめて、早く本題に入ってちょうだい」。“废话”に対置された“正事”の意味は「本題」、「話の本筋」、「まじめな話」、文脈によっては「仕事の話」。

▲例文5“
你还有完没有?”「いつまでそうするつもりなの?もういい加減にやめなさい!」。これは反語文。副詞“”は反語の語気を強めている。どんな話や行動にも限度、限界が付き物です。なのに、君のそのいつ終わるとも知れない言辞や行動は、あまりにも極端すぎると咎めている場面。場をわきまえず、滔々とまくし立てる人への不快感を示す時によく使う決まり文句。

▲例文6“
不跟你扯了,我有正事呢。”「やらなくちゃいけない用事があるので、おしゃべりはやめにするわ」オイ!

▲例文7“
别净想美事,说点现实的吧。”「うまい話ばかりを考えるのは止して、現実的なことを話しなさいよ」。現実離れした空想ばかりにふけるのはやめて、現実に即した話をするべきだ、と相手に注意したり、促したりする場面のセリフです。

▲例文8“
看来,这个话题有点儿太沉重了。”「どうやらこの話題はちょっと重苦しすぎたようだね」

▲例文9“
不提这些了,还是说点轻松的吧。”「そんな話題は止めにして、それより気楽な話をしようよ」。

▲例文10“
咱们换个地方,忘了这些不愉快的事吧。”「こんな不愉快なことは忘れることです、場所を替えましょう」。忌まわしい場所に居るから不愉快な事を思い出してしまう、だから別の場所に移ろう、という提案。

▲例文11“
你今天心情不好,我们不谈这个。”「君は今日ご機嫌ななめのようだね、それならこの話題はやめにするよ」。

▲例文12“
好了,今天我们不谈工作,只谈友谊。”「もうよい、今日は仕事の話はやめにして、もっぱら私たちの友情を語り合うことにしましょう」。

▲例文13“
我劝你见好就收。”「程よいところでやめるのが得策ですよ」。やりすぎると、かえって不都合や逆効果になるよ、との忠告。

▲例文14“
太顺的事儿往往有问题。”「とんとん拍子に運ぶ話はとかく問題があるものだ」。例えば、表面的にはとても順調に進捗している商談でも、その裏で潜在的なリスクや隠れた落とし穴が待ち受けていることが少なくない。「うまい話には裏がある」。

▲例文15“
我不敢说大话,只能说尽力而为。”「大きな口をたたくなんて畏れ多いことです。私が言えることは、全力を尽くして行う、たったこれだけです」。言行不一致を避けようとする心掛けは、バランス感覚の表れです。

▲例文16
“受之有愧,却之不恭,只好收下了。”「(あなたからの贈り物をこのまま)頂戴するのはお恥ずかしい次第です、そうかと言って、お断りしては失礼に当たりますので、ここはやむなく頂くことと致します」。やや古風な言い方ですが、謙譲の美徳を示す例文として取り上げました。贈り物をもらうほど相手によくしてあげたわけでもないから、もらうのはいささか恥ずかしいという気持ちと、辞退したら相手の好意を無にし、失礼になってしまうという懸念、この両者の板挟みになっている。複眼的視点から生じた一種のジレンマですが、礼を優先させて、相手の好意を受け入れる結論になっています。こうしたセリフは、現在でもフォーマルな場面においてよく使われる。知識人、教養人好みの謙譲語。

▲例文17“
你非要把事情做得这么绝吗?”「君はどうしても自ら袋小路に入るようなやり方を取りたいのだな?」。君のやり方では自ら窮地に陥ることになるけど、それでもいいのか?なにもそこまで極端に走ることはないのに。このセリフを語気鋭く吐くと、「君のそのやり方では自滅を招く結果になりますよ、無謀なマネはおやめなさい」との警告になる。言外にバランスを失した考えを捨て、穏健な方策を取るのが賢明だと示唆しています。類似表現;“此路不通”cǐ-lù bù tōng【慣用句】この先行き止まり

▲例文18“
你总是往坏处想。”「君はいつも決まって(物事を)悪いほうへ考えがちだね」。いつもマイナス思考だと未来への展望が開けず、結局、敗北主義に陥ってしまう。物事の利害得失を総合的に勘案するバランス感覚が必要だとの忠告でもあります。

▲例文19“
他们那些人净说好听的。”「あの連中ときたら、口にするのは耳障りのいい話ばかりだ」。言外の意味は「あの連中の甘い言葉を真に受けてはいけないよ」。成語で言うと“口蜜腹剑 kǒu-mì fù-jiàn(口先では甘言を弄し、腹の中は悪辣だ/ニッコリ笑って人を切る/陰険な偽善者)”。

▲例文20“
太多疑的话,很容易让你衰老的。”「ひどく疑い深い人は、老け易いですよ」。「人を疑うのもほどほどにしなさい」。人はみな実年齢よりも若く見られたいと願うので、「老け易くなるから、疑い深すぎるのは損ですよ」との忠告には、なかなか反発しづらいものですね。日常生活において、過度の猜疑心や嫉妬心はストレスを溜める原因になり、溜まったストレスは胃腸や皮膚などにダメージを与える。すると、勢い老け易くなるとの想像を呼び起こすからでしょうかね?
一本!
▲例文21“
他这个人直肠子,不会绕弯子。”「彼は生まれつき一本気で、遠回しに物を言えないたちなのです」。極端な性格は、世渡りするのに不利であり、損をする。なぜならば、あまり明け透けに物を言うと、敵を作りやすいからというふうに解釈できますね。

( 2017年9月2日 鄭 青榮 )
【次回第78話にに続く】