-中国語あれこれ
--鄭老師の漫談--
(66) 中国語会話 中級プレミアム・レッスン
【中国流の説得法】
再忙,饭还是要吃/你就当尝个鲜,我觉得味道挺好的
…… 旬を味わうつもりで食べてごらん、……
★常識・理屈を用いる説得スタイル( その2 )  
∞経験則・生活の知恵タイプ ∞


下記の例文には、食事、飲酒、健康、医療、加齢、不用品処理など日常の生活風景が取り上げられています。また、社会生活関連では幼友達、昇進など身近な事柄を話題にしています。これらのシンプルな会話フレーズの中にも、それぞれ経験則や暮らしの知恵が含まれおり、それが説得力の源になっています。
秋ダモンネ♪
1.我在餐馆里干活儿,有热饭吃。
2.馄饨不顶饱,再吃碗葱油面吧。
3.再忙,饭还是要吃。
4.你就当尝个鲜,我觉得味道挺好的。
5.我从来就喝酒不过量。
6.这些破烂儿留着没用,烧了干净。

7.你把药吃了,病能好得快点儿。
8.没事儿的,就一分钟,忍忍就过来了。
9.升官了你还不乐意?
10.我跟他从小一起玩儿到大。我比谁都了解他。
11.你不年轻了,自己要加倍小心。


★語注;
頂饱 dǐng-bǎo【動詞】腹を満たす/満腹を感じる●尝鲜 cháng-xiān;【動詞】取れたての物を賞味する●升官 shēng-guān;【動詞】官位が上がる/昇進する●乐意 lè-yì;【形容詞】満足である/うれしい

★解説 :
例文1“我在餐馆里干活儿,有热饭吃。は「私の職場は料理店でして、アツアツの御飯が食べられます」。熱くて美味しい中華料理も、冷めると味が落ちてしまう。“热饭”“热菜”にこだわる中国人のこのセリフから、快適な食事に満足する気持ちが伝わってきます。さすがは“民以食为天=人は食事が一番!”、“吃饭要紧=食事が大事”の国柄、何はともあれ、毎日の食事が喫緊の最優先事項なのです。料理店やホテル従業員にとって、ほかほかの食事は大きな楽しみというわけ。

例文2“馄饨不顶饱,再吃碗葱油面吧。”は「ワンタンだけでは腹の足しになりませんから、さらにネギ面を食べなさいよ」。薄いワンタンの皮はスープの表面でふわーと広がるので、一見ボリュームがあるように見える。実際はいくら食べてもなかなか満腹感が起きません。そこで、もう一品追加!これは納得です。ワンタンは広東語で“云吞=雲呑”。空にぽっかりと浮かぶ雲の形をしているからでしょう。

例文3“再忙,饭还是要吃。”は「どんなに忙しくても、食事はやはり取らなければなりません」。食事抜きは無理な話というわけ。

例文4“你就当尝个鲜,我觉得味道挺好的。”「旬を味わうつもりで食べてごらん、私はいい味をしていると思うけど」。出された初めての料理を敬遠する相手に対して、「旬を味わってみたら」とやんわり勧めるところがミソ。味のよい食べ頃の魚介類・野菜などは誰でも喜んで食べるもの。それをむげに断るのは非常識と思われてしまいますから、結局、誘いに負けて試食することになるというわけです。

例文5“我从来就喝酒不过量。”は「私はこれまで一貫して飲酒は適量を守ってきました」。過度の飲酒で二日酔いの辛い目に遭ってから、このルール順守を心掛ける人は多いと思います。無理に酒を勧める相手に対して、この言い方はそれなりの説得力があります。

例文6“这些破烂儿留着没用,烧了干净。”は「これらのガラクタは取って置いても役に立たない、それより焼却したほうがきれいサッパリします」。構文パターンとしては“(与其)留着没用(倒不如)烧了干净”の省略形。“与其…倒不如…”は「…するよりむしろ…したほうがましだ」。日常会話フレーズでは、【接続詞】“与其”、さらに【動詞句】“倒不如”も省かれる点に注意する必要があります。

例文7“你把药吃了,病能好得快点儿。”は「あなたは薬を飲めば、病気は早く治りますよ」。

例文8“没事儿的,就一分钟,忍忍就过来了。”は「大丈夫ですよ、わずかの一分間、ちょっと我慢すれば、済むことですからね」。例えば、健康診断は採血されるので嫌だという相手をなだめるときの言い方。注射針を差し込まれる瞬間はたしかにチクッとするが、あとはあっという間に済んでしまう、こんな経験は誰にもあるので、この言い方は説得力があります。

例文9“升官了你还不乐意?”は「出世したのに、まだ何が不満なの?」。官界・企業界で出世したら、誰でも喜ぶはず。なのに、笑顔が無いのは尋常ではないという理屈。

例文10“我跟他从小一起玩儿到大。我比谁都了解他。”は「私は小さい時から大人の今でも、ずっと彼とは遊び友達の仲なのです。彼のことなら誰よりもよく知っていますよ」。

例文11“你不年轻了,自己要加倍小心。”は「もう若くはないから、自分で充分に気をつけなきゃだめですよ」。加齢とともに健康不安も募ってきます。これは万国共通の常識。

【経験則・生活の知恵】に関することわざ・格言・成語など 
コノ父ニシテ…
有其父,必有其子---この父にしてこの子あり
類似表現→
“有什么老子,有什么儿子”、“老子英雄,儿好汉”


家家都有一本难念的经---仲睦まじく見える家族でも、他人には窺い知れない矛盾や悩みを抱えているものだ→類似表現;人人都有难唱的曲---誰にも苦手な曲があるものです/人はだれでも人知れぬ悩みがあるもの。“难念的经”=「読みづらい経文」は僧侶にとっての悩み。“清心寡欲”の僧侶でさえも悩みがある、いわんや俗界の人々はなおさらだ、というわけ。

一分钱一分货---安物はそれだけの値打ちしかない/1銭に対しては1銭の品物/値段相当な品物

贪多嚼不烂---食べ物を頬ばりすぎるとうまく噛めない/欲張りすぎると失敗する。

坐吃山空---座して食らえば、山もむなし/無為徒食が続くと、山ほどの財産があっても食いつぶしてしまう。

文凭不能当饭吃---卒業証書イコール生活の糧ではない/学歴だけでよい暮らしが手に入るものではない。紙に書かれた卒業証書は、どんなに立派なものでも食事の代用品にはなれない。

没有消息就是好消息---便りがないのは無事な証拠/便りがないこと自体、よい便りなのです。

走得了和尚走不了庙---寺の住職は逃げても、寺まで逃げることはない。豪族の恨みを買い、「逃げるが勝ち」を決めこむ住職は寺を捨てて逃げ出し、俗界に身を隠したものの、寺の後始末の問題は残ったままだ。つまり、結局はしがらみによって、首尾よく逃げ切れないことの喩え。

次話も引き続き、経験則や生活の知恵を内包した説得フレーズを取り上げます。
(次回第67話に続く)