-中国語あれこれ
--鄭老師の漫談--
(50)中国語会話 中級プレミアム・レッスン
【 忠告の表現 (5) 】
你能不能吃得淑女一点儿?/你可不要贪杯哟!
…食事の際はお淑やかに…/飲み過ぎないでね!

オイシュウ ゴザイマス
Ⅰ. 生活態度・作法に関する忠告
1. 你没冷没热地胡吃,当心闹肚子。
2. 小孩子不能吃太甜的,把牙齿吃坏了。
3. 你能不能吃得淑女一点儿?
4. 你说话能不能温柔点儿?
5. 饭能乱吃,话不能乱讲。
6. 你们要好好过日子。 
7. 这笔钱得之不易,你得省着点儿花。


★語注;
没冷没热 méi lěng méi rè;食物の冷温もかまわず手当たり次第なさま ●胡 hú;副詞・むやみに ●当心 dāng-xīn;動詞・注意する/用心する ●淑女 shū-nǚ;名詞・淑やかな(この例文では形容詞的用法) ●笔 bǐ;量詞・ひとまとまりの金銭 ●得之不易 dé zhī bú yì;動詞句・手に入れるのが容易でない ●省 shěng;動詞・無駄を省く/節約する

★解説
●例文1は、「気をつけなさい、手当たり次第にメチャ食いすると、お腹を壊しますよ」。
(你没冷没热地胡吃,当心闹肚子。)

●例文2は「歯をやられますから、子供があまり甘いものを食べるのはよくありません」。
(小孩子不能吃太甜的,把牙齿吃坏了。)

●例文3は、「食べるときは、お淑やかにできませんでしょうか」と、テーブルマナー改善の要望を相手に提起しています。“
能不能…?”は「…して頂けませんか」との丁寧な言い方。(你能不能吃得淑女一点儿?)

●例文4は、「人と話すときは、優しく話して頂けませんか」
(你说话能不能温柔点儿?)

●例文5は、「めちゃ食いはいいとしても、むやみに喋り散らすのはいけません」。
(饭能乱吃,话不能乱讲。)

●例文6は、「(これからは)しっかりと暮らしてゆきなさい」。これは「それぞれ正業に勤しみ、精一杯生きてゆくように」との教え。
(你们要好好过日子。)

●例文7は、「さんざん苦労してやっと手に入れたお金なのだから、節約を心がけて大事に使わないといけません」。
(这笔钱得之不易,你得省着点儿花。)

Ⅱ. その他の忠告フレーズ
1. 你试试就清楚了。
2. 这件事还是不要扩大化。
3. 这些不是你们该管的。
4. 这是不合法的。/ 这是违法的。
5. 这是你自己惹的祸,你受不了也得受。 
6. 你要坚持住,坚持就是胜利。
7. 慢慢来吧,总有办法的。
8. 这是陈年老酒,不过你可不要贪杯哟!


★語注;
清楚 qīng-chu;動詞・はっきり分かっている/了解している/はっきり知っている ●管 guǎn;動詞・関与する/干渉する ●惹祸 rě-huò;動詞・災いを招く ●受不了 shòu-bu-liǎo;動詞句・耐えられない ●贪杯 tān-bēi;動詞・酒を飲みふける/飲酒にうつつをぬかす/酒をむさぼり飲む

★解説
●例文1は「実際に試してみれば、分かることです」。
(你试试就清楚了。)

●例文2は「この件はやはり事態を拡大させてはなりません」。事態の鎮静化を主張する言い方。
(这件事还是不要扩大化。) 関連語句;“大事化小,小事化了”=大きいことは小さくし、小さい事は済みとする(諺)。
経済社会の諸問題を解決するには、「改革・安定・発展」がキーワード;この三者のバランスを取りながら“
稳中求进 wěn zhōng qiú jìn(安定を保ちながら着実に前進を図る)”の基本方針を堅持して国作りを推し進める---これが現在の中国の行き方です。その半面、社会において、“大事化小,小事化了”=「事なかれ主義」の保守思想も根強い。

●例文3は、「これらの事は、あなた方が口出しすべきではありません」。“
别管闲事=余計なお世話はやめてください”の丁寧な言い方。(这些不是你们该管的。) 職務権限や利害関係のない人の口出しを封じようとする理知的な言い方。こうしたスマートな言葉は社会の調和と成熟を促す“正能量zheng néng-liàng(促進エネルギー)”となるに違いありません。

●例文4は、「これは違法行為です」。
(这是不合法的。/ 这是违法的。)

●例文5は、「これはあなたがみずから招いた災いですから、辛くてもそれに耐えなければなりません」。いわば「自業自得です、泣き言はやめて自分で責任を取りなさい」と突き放した形の忠告。
(这是你自己惹的祸,你受不了也得受。)

●例文6は、「ぶれずに頑張らなくてはなりません。最後までやり通せば、必ず勝利します」。「初志貫徹と必勝の信念が勝利をもたらす」との忠告と激励の慣用句。
(你要坚持住,坚持就是胜利。)

●例文7は、「じっくりやりましょう、必ずや方法が見つかるはずですから」。中国人らしい大らかで楽観的な言い方。
(慢慢来吧,总有办法的。)

●例文8は、「この酒は上等な年代物ですが、欲張って飲み過ぎないでくださいね」。
(这是陈年老酒,不过你可不要贪杯哟!)

◆飲酒関連の成語◆
酒肉朋友 --- 飲み友達
酒囊饭袋 --- 大酒のみで穀つぶし
酒池肉林 --- 超贅沢三昧な酒宴の喩え
美酒佳肴 --- 美味しい酒に旨いつまみ
斗酒不辞,豪饮不醉 --- 底なしの酒豪
一饮而尽 --- 一気飲み
一醉方休/不醉不归 --- トコトン飲む
滴酒不沾 --- 完全な下戸
不胜酒力 --- 酒に飲まれる
烂醉如泥/醉成烂泥 --- ぐでんぐでん/へべれけに酔っ払う
酒后吐真言 --- 酔って本音を吐く
贪杯误事 -- 飲み過ぎて失敗する
借酒浇愁 --- やけ酒を飲む
一醉解千愁 --- 酒はよろずの憂いを追い払う
醉生梦死 --- 夢うつつの人生  

以上、例文8に関連して日常よく使われる、飲酒に関する中国の成語を私なりに並べてみました。全体的にみると、酒に宿る魔性を感じさせられるものが多いですね。これは歴史的に長い飲酒経験を積んできた中国人が、失敗の教訓を汲み取った結果だと思います。

思うに、飲酒の際、アルコールの分解過程で消耗する体内の酵素やビタミン類を補うために、適宜な「
“酒菜 jiǔ-cài”=つまみ」を選ぶことも大事ですが、結局、最大のポイントは、飲む酒の酒力 jiǔ-lì(アルコールパワー)”と、飲む人の“酒量 jiǔ-liàng(人体アルコール許容量アルコール分解能力)”とのバランスを図ることだと思います。“酒力”が弱すぎると、ほろ酔い機嫌になれないし、強すぎると悪酔いになってしまう。

「酒は百薬の長」か?

よく「酒は百薬の長」と言うけれど(
“酒是百药之长”)、「酒は百薬の王」とは言わない。なぜか?もしも、「酒は百薬の王」であるならば、「ライオンは百獣の王」と同様、酒はすべての薬の中で最高最強の効能を具え、万病を治す万能薬を意味することになり、これは妙な話になる。まさか「酒は仙薬、霊薬である」とは言えないからです。

では「百薬の長」の「長」は何を意味するのか?「長」とは長老、先輩、先行者、元祖、まとめ役、リーダーなどと解釈できる。それはさまざまな薬の原料の有効成分を溶かし込んだ「薬用酒」をみると分かり易い。つまり、薬用酒の溶媒として使われる酒は、溶かしたさまざまな生薬の有効成分に対して、それらの働きを助勢し強める力や、薬効を常時安定させる統括機能を持つなど、いわば多種多様な生薬の「統括者=リーダー」なのです。だからこそ「百薬の長」だという理屈も成り立つわけです。

歴史的に見ると、中国では古代夏王朝の時期に早くも酒造りが始められていた。作られた「酒」は飲用のほかに、さまざまな病気の治療にも利用されるようになり、薬の元祖となった。「百薬の長」という言い方はそこから生まれたと言われます。

それに対して、現在、私たちが薬用酒ではない普通の酒類、例えばビールや洋酒などを楽しみながら飲用する時、それはもはや「百薬の長」ではなく、人体にとってはむしろ両刃の剣---端的にいえば、飲酒によって血の巡りがよくなり、ほろ酔い機嫌の楽しい気分になれる半面、その先へ進み過ぎると、胃腸や肝臓などの機能にダメージを与える危険な落とし穴が待っているからです。

したがって、自分の受容限度を知り、適量を順守して、大酒、深酒を避けることが肝心です。その点さえ守られれば、「孫子の兵法・謀攻篇」の示す通り
“知彼知己,百喝不烂醉”、いつもほろ酔いの安全圏内に居られる。つまり、「アルコールパワーを知り、おのれの酒量を知れば、百飲危うからず」というわけです。(*「第31話 酒宴・パーティー2」参照)

ここで問題なのは、悩みやストレス解消のための飲酒です。特に悩み深き人が
“一醉解千愁”とばかりに速いペースでどんどん飲むと、適量順守の歯止めが失われ、アルコール依存症など深刻な問題を引き起こすことになりかねない。

日本においても言い古されてきた諺ではありますが、改めて
“酒是百药之长”の真意を考え直してみる必要があるのではないか、と思います。秋の夜長に友人や家族とともに愛飲の「百薬の長」を堪能しながら、その意味を語り合ってみてはいかがでしょうか。
(次回に続く)