-中国語あれこれ
--鄭老師の漫談--
(45)中国語会話 中級プレミアム・レッスン
弁解・釈明の表現
最近有些事搅得我心烦意乱/你看,我这张破嘴又得罪人了!


 日中交流に関して、よく民間交流は大事だ、相互理解の増進が課題だといわれます。これはもちろん正論ですが、その一方で、交流の中で生じた誤解を解消したり、文化摩擦を低減させたりする地道な努力も怠れないと考えます。

 そこで、今話は中国人の釈明・弁明ないしは弁解に関する言い回しや表現スタイル・技法を探るために、実際に使われている日常フレーズを集めて分類し、解説してみました。中国人に対して釈明する場合、小文が何かの手掛かりになれば幸いだと思います。

 さて、釈明にもいろいろなケースがありますが、便法として、Ⅰ.異常事態に起因するとの釈明、Ⅱ.悪意否定の釈明、Ⅲ.軽率、無神経だったとの釈明、Ⅳ.苦しい立場の釈明などに分類しました。

Ⅰ.異常事態に起因するとの釈明

1.这几天我脑子有点乱。
2.现在我的心里乱极了。
3.前两天我身边发生了很多乱七八糟的事情。
4.最近有些事搅得我心烦意乱。
5.一紧张我就忘了。
6.那次吵架的时候,我在气头上说过这句话。


★語注;
心烦意乱 xīn-fán yì-luàn;成語 イライラして心が乱れる●气头上 qì-tóu-shàng;名詞句 激怒の最中

★解説;
●例文4は「最近、いろんな厄介事に引っ掻き回されて、むしゃくしゃしていたんです」との説明によって、相手の同情・寛容・諒解などを願う言い方。例文1,2,3も同類。


●例文5は物忘れの失態を緊張しやすい自分の性格のせいにしている。やんわりとした自己弁護ですが、一回目なら許されても、二度目からは注意義務違反に問われるかもしれませんね。

●例文6は、激怒したときに暴言、失言を吐いたケース;「喧嘩になったあの時、自分は怒り心頭に発する状態になってしまい、そんな発言をしたことは認めます」との釈明だが、このままでは弁解と受け取られて、事がかえってややこしくなるかもしれません。だったらその前に、暴言の部分について潔く謝罪したほうがよいと思います。
中国には
“冲动是魔鬼 Chōng-dòng shì mó-guǐ”という言葉があります。「感情の暴発は心の悪魔」であり、“后悔也来不及 Hòu-huǐ yě lái-bu-jí”との自戒の意味がこめられています。日本語の「短気は損気」に相当するようですね。また、中国では“酒后失态 jiǔ-hòu shī-tài”は許されないので、「無礼講」などの日本的習慣は、中国に行ったら封印したほうが無難です。なぜならば、日本と違い、中国では酒に酔ったうえでの無礼や醜態はまったく受け入れられない。中国のことわざに曰く“酒后吐真言 Jiǔ-hòu tù zhēn-yán;酒に酔うと本心が出る”と見なされるからです。

Ⅱ 悪意否定の釈明

1.我是说着玩儿的。
2.我是开玩笑嘛!
3.我说这个话没有冲着你来。
4.我确实不知道啊!
5.我完全不知情。


★語注;
说着玩儿 shuō-zhe wánr;動詞句 ふざけて言う●冲 chōng;前置詞…に向かって/…に対して●知情 zhī-qíng;動詞 事の経緯を知っている

★解説;

●「冗談に過ぎず悪意はない」というのが例文1,2。むろん冗談、軽口や滑稽などはそれ自体べつに悪いことではありません。中国人にもそんな面白い人はいる。ただ場をわきまえる必要があると思います。日本のテレビ番組をみると、多くの局でお笑い芸人やタレントが盛んに登場し、日常卑近な話題を材料にして、巧みに視聴者に笑いを振りまいています。その意味で、日本は「お笑い大国」といえるかもしれない。ただ国情や歴史文化の違いから、日本式の冗談を中国人に向かって話しても通用しない場合も当然多々あるので、うかつに冗談、特に低俗なギャグの類は言わないほうが賢明だと思います。
それよりもむしろ、日本の優れた伝統文化を紹介するほうが大事です。さらにもう一点、さきの大戦に関して、日本人は中国との歴史和解がまだ実現していない点に留意する必要があると思います。

●例文3は、非難されたと誤解する中国人に対して釈明を行う時のフレーズです。話し方として、一般論をよく述べる人は、「あなたに矛先を向けた発言ではないですよ」と付け加えるのを忘れないようにしたいですね。

●“
不知者不怪罪 bù-zhī-zhě bú guài-zuì 事情を知らない者は咎めない”が一般的に中国社会でも認められているので、例文4、5は釈明に使えます。

Ⅲ 軽率、無神経だったとの釈明

1.我问得有点儿太唐突了。
2.这话我问得够笨的。
3.当时我没想那么多。
4.我只是有感而发,没别的意思。
5.我只是说了说场面话。
6.我只是随便说说。
7.我是个粗人,我那些不中听的话你就别往心里去。 
8.你看,我这张破嘴又得罪人了。


★語注;
有感而发 yǒu gǎn ér fā;熟語 感じたままに話す●粗人 cū-rén;名詞 教養のない人/武骨者●不中听的话 bù zhōng-tīng de huà;名詞句 耳障りな話●张 zhāng;量詞 口を数える単位●破嘴 pò-zuǐ;名詞 だめな口/罪深い口● 得罪 dé-zuì;動詞 相手を怒らせる/機嫌を損ねる

★解説;
●例文2は「自分は非常にくだらない質問をしてしまった」と謙遜しながらの弁明。


●例文3は「そのとき、自分はそこまで考えが及ばなかったが、今にして思えば、思慮に欠けていた」というニュアンスの釈明。

●例文5は「場当たり的に話してみたまでで、他意や隠された意図はないですよ」、例文4,6はそれぞれ「感じたままに話したにすぎません、他意はありません」、「気ままに話してみただけで、他意はないですよ」との釈明。

●例文7,8は自分を「武骨者」とか「罪深い口を持つ者」と卑下して見せつつ、「武骨者の私のくだらない話などは気になさらないでください」とか、「ほらね、罪深い口を持つ私は、また人様の機嫌を損ねてしまいました」とか言って、実はやや開き直り気味に弁明している点が特色になっています。

Ⅳ.自分の苦しい立場の釈明

1.我也是不得已而为之啊!
2.我不敢妄加评论,因为得罪哪一方都是祸。
3.这工作我真辞不了。


★語注;
“不得已而为之 bù-dé-yǐ ér wéi-zhī”は口語体に直すと、“没别的办法,只好这么做”“我不敢妄加评论 Wǒ bù gǎn wàng jiā píng-lùn ” 私はみだりに是非を論じることを差し控えます。(なぜなら、どちらを怒らせても私にとっては災いになりますからね)●辞不了 cí-bu-liǎo;動詞句辞めるに辞められない

★解説;
例文1、2、3はいずれも板ばさみに陥った苦しい自分の立場について相手の理解を求めようと説明しています。例文1は、「ほかに方法があれば、本当はそうしたくない」、例文2は「自分に災いが及んで来ないなら、本当はきっぱりと理非曲直を論じて、自分の態度を表明するはずです」、例文3は「自分がいま就いている職は、自分の一存で辞められるなら、辞めることもできよう。でもそれがどうしても許されないのです」。

Ⅴ.その他

1.我就是这样一个人。 自分はそういう人間なんです。
2.我这个人不认路,一出门就分不请东南西北。(※第32話「味な言い回し」参照)
3.我是不记人名的。 私は人の名前は覚えない主義でして。
4.此一时彼一时嘛。 以前と現在とは事情が違う。「あの時はあの時、今は今」って言うではありませんか。

★解説;自分の言動が誤解や叱責・非難を受けたとき、例文1は「自分という人間の生来不変の性格」、例文2は「方向音痴」、例文3は「生活信条」、例文4は「情勢の変化」をそれぞれ理由に挙げて、相手の理解を求めた形になっています。

(次回に続く)