-中国語あれこれ
--鄭老師の漫談--
(18)中国語の言い回し・味な表現(2
曖昧な言い回し・婉曲表現・味な言い方

“这可不好说”/“可也是啊!”/“我不知道这件事儿该不该说”……

 前話に引き続き、今回は中国語の中の曖昧な言い回し、婉曲な表現を取り上げます。ただ、対話形式を使って前後の文脈を具体的にわかり易く提示すると、膨大な分量になってしまう。それは、紙幅の関係で割愛せざるを得ませんが、ここでは、各例文の表現法上の意図や狙いなどを解説するカタチを取ってみたい。要は、中国語にも婉曲な表現法、微妙な言い方、味な言い方、曖昧な言い回しがあることをお分かりいただきたい。語彙や文法知識からみて、中級レベルの学力で充分理解できるものを集めてみました。

这倒也是。→→それもそうだね。(⇒⇒自分の見解とは異なる相手の考えに接して、関心を示したり、同調したりする口ぶり)

可也是啊!→→なるほど、そのお考えもごもっともですね。(⇒⇒「そう言われてみると、なるほど」と思うときの返事。見落としていた点を相手が指摘してくれたときなどに使う言い方)

这可不好说。→→それはなんとも言いにくい。

现在我还不好说。→→いまはまだなんとも言いにくい。(⇒⇒“不好说”は、自分に不利、不都合で口に出すのは憚るとか、気兼ね、遠慮、ためらいなどに囚われて、うっかり言えない心理状態が根底にある言い方)

不至于这样吧。→→そこまでは行かないでしょう。そうはならないでしょう。

没那么严重吧。→→それほどひどくはないでしょう。(⇒⇒相手の見解は事態を悪い方へ考え過ぎていると、やんわり否定する言い方。事態を楽観視し、最悪事態は回避されるだろうとの推量がベースになっている)

有这事吗?→→そんなことがある(あった)の?(⇒⇒懐疑的な反問。事実かどうかを確認する尋ね方)

那倒不一定/那倒也未必。→→そうとは限らない。(⇒⇒他の可能性を示唆して、やんわり相手の見解を否定する言い方)

我不敢那么妄想(胡说)。→→そのような妄想など畏れ多くて、とてもできません(そんなたわごとを口に出すなんて畏れ多くて、できません)。(⇒⇒「いえ、いえ、とんでもありません、めっそうもありません!」と、相手の自分に対するあってはならないことへの推測を強く否定する言い方)

作为外人,不大好说。→→私は当事者ではないので、なんとも言いにくい。

改天(以后)再说吧。→→他日また話すことにしましよう。(⇒⇒相手の提案や要望などを先送りしたり、やんわりと断ったりする含みのある言い方。話がそのまま立ち消えになることもある)

让我研究一下。→→ちょっと検討させて下さい。

我先试试吧。→→ひとまず試してみましょう。(⇒⇒一応、前向きに取り組む考えである言い方)

让我再考虑考虑吧。→→さらによく考えてみましょう/もっといろいろと考えさせてください。(⇒⇒相手の提案に対して即答を避け、問題点についてさらに検討する時間を稼ぐときの言い方)

到时候再告诉你。→→そのときになったらお話します。(⇒⇒今は言えないとの婉曲的な言い方)

我还拿不定主意呢。→→まだ考えを決めかねています。

一言难尽啊!→→ひと言では言い尽せないなあ。(⇒⇒複雑な事物や事態にたいする判断の迷い、困惑や、しがらみに囚われた複雑な心理を吐露している)

现在一、两句话我也说不清楚。→→いますぐ一言でどうだ、こうだとハッキリ言えません。(⇒⇒即答を避け、答えを先送りする言い方)

我不知道这件事儿该不该说。→→このことをお話してよいのかどうか迷っているのです。(⇒⇒背景として、言い出したら相手の機嫌を損ねてしまわないか、自分の立場が不利にならないかとの懸念があるときの慎重な言い回し。相手から応諾の“你说吧”を期待している場合が多い)

相手の出方、態度を窺う言い方で類似したものに、次の例がある。

我不能告诉你,因为我不知道这是好事,还是坏事。→→あなたに知らせるわけにはいきません。なぜならば、それがよいことなのか、そうでないのか判らないから。(⇒⇒発話者は、言葉では相手に伝えようとする事柄の是非の判断に悩む態度を示しているが、実際は喋ったら、相手の機嫌を損ねて叱られやしないかとの警戒心から出た頭脳的な言い方、つまり、自分にとっての利害得失を事の理非曲直とすり替えている点がミソになっている)

具体原因还搞不清楚。→→具体的な原因はまだ判っていない。(⇒⇒なお原因を詳しく調べている最中だと匂わしている。結論は先の話だという言い方)

这个我听说过,但没见过。→→それは、聞いたことはあるが、見てはいない。(⇒⇒相手の話の信憑性に疑念を持つときの婉曲的な返事。言質を取られないようにと、慎重な言い方になっている。中国の格言“百闻不如一见”の理に適った言い回しで、それなりの説得力がある)

就算(是)吧。那又怎么了?→→そうおっしゃるなら、それでもいいでしょう。で、それがどうかしましたか?(⇒⇒前半で相手の言い分をしぶしぶ受け入れておいて、後半で開き直る言い方)

我不是说你,…  →→お説教するつもりではないけれど、…  (⇒⇒相手の自尊心への尊重を示すこの前置きによって、相手の心理的抵抗を和らげておき、それに続いて、相手に対して注意を喚起したり、意見、忠告などを明言したりするときの枕詞みたいなもの。“说”には話す/語る/説明するのほかに、説教する/忠告するとの意味用法がある)

このほか、対人関係を円滑にする、日常よく使われる婉曲表現には、下記の例文もある。

这么做,我也是很无奈。→→私だって、やむにやまれずそうしたのです(⇒⇒私の心中の苦渋も察してください、との表現法)

这只不过是我个人的推断…→→これは私の個人的な推定に基づく見方に過ぎませんけど…(⇒⇒押し付けがましくならないような言い回し)

这个话题我们就不多说了。→→この話題は、これ以上、話すこともなかろう。(⇒⇒「これ以上、話したくない話題なので、やめてください」を遠回しにした言い方)

 以上に挙げた例文は氷山の一角に過ぎませんが、如何でしたか?一見、「青竜刀」みたいな中国語も、なかなかやるではありませんか!見た目は、ゴツゴツと重厚で豪快そうな中国語も、いろんな表現技法や修辞法を使えば、人間的な心理や意図をじつに微妙に、繊細に表現できるではありませんか。

 語彙の面で言うと、【語気助詞】と【語気を伴う副詞】の用法に注意が必要です。つまり、頻出する基本単語の“吗”“呢”“嘛”“了”“呀”  …“可”“也”“又”“还”“真”“倒”“却”“竟”…など、一つ一つの意味用法をコツコツと学習、攻略し、マスターしてゆく。その際、できれば、辞書や参考書に載っている代表的な例文をよく吟味の上、憶えるようにしたら、ベターだと思います。(次回につづく)